ぶん屋の抽斗

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2011年 03月 05日

坊さん簪買うをみた

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「土佐の高知のはりまや橋で坊さん簪買うを見た」
よさこい節の一節でありますが、ご存知の方もお見えでしょうな。






幕末、五台山竹林寺の南の坊に修行僧「純信」という坊さんがいたそうであります。五台山竹林寺といえば、四国巡礼の三十一番目のお寺として名高いお寺でありますな。そこのお坊さんでありまして仏に仕える身でありながら、鋳掛け屋の「お馬」という娘に恋心を抱きまして、その娘に贈るため播磨屋橋たもとの小間物屋で簪を買いました。それを見ていた者が 他の者に吹聴いたしまして噂が広がります。

これを咎められまして純信はきついお叱りを受け、暫く謹慎ということになりますが、恋心を消せるものではなく隙を見てお寺を抜け出し、お馬を連れ駆け落ちをするのですが、あえなく捕まりまして、国外追放ということになります。時に純信三十七歳、お馬は十七歳だったと言うことであります。

周りが見えなくなるのも「恋」というものがなせる業でありまして、純信はどんな思いで簪を買ったんでしょうかね。お馬の髷にこの簪が挿してあったならきっと似合うはずだ。お馬も喜ぶに違いない。そんなことを考えたんだろうと。純信ばかりでなく、世の男ってぇものは惚れた女の喜ぶ顔が見たいものでありまして、その喜ぶ顔が見られるんなら本望ってことになりますな。

銭入れの銭をはたきましての大盤振る舞い。って事には行かずとも、あれが似合うか、これが似合うかと考えるのは楽しいものであります。恋は盲目と申しまして、己の立場なんぞクソ喰らえの純信。後の悲恋なんぞ知る由もない、播磨屋橋の小間物屋。並んだ簪を手に取りながらやに下がっていたんだと思いますな。(鼻の下を伸ばしてたんだろうな)男はかくも女性に甘いものでありまして、それゆえ女心もほだされるんでしょうな。

※この記事は「ぶん屋の抽斗はまぞう版」2007年12月15日に記載したものを転載いたしました。

(あたしは坊主頭だけど、簪は仕入れるだけ)

by komamono_bun_ya | 2011-03-05 15:39 | | Comments(0)


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