ちょいとお湿りが続くようでありまして、またもやちょいと肌寒い日になっちまいましたな。家の白梅ははらはらと花びらを散らしまして盛りが過ぎたことを教えてくれております。が、紅梅は未だ元気よく咲いておりまして、一雨ごとに暖かくなる春を見送っているようでありますな。次は桜だなと。
和の意匠の思想というものは、見る人に次の季節を予感させるってぇところに美意識がありまして、ちょいと向こうの季節を早取りをしていくんです。その季節のものは本物がある以上ちょいと野暮ってぇことになりまして、今の時期なら梅は終わりまして桜のものがいい。ふわりとした縮緬に、ちょいと白い花びらの意匠であります。これは不思議と桜にしか見えない。花びらが白で地がピンクなのにね。不思議なものでありますな。ちょいと置いてみた蜻蛉玉は若草の香りのするものでありまして、桜のさらに向こうの季節を意識してみました。こんな風に遊んでみるのも楽しいものでありますな。
(春を越えればすぐに初夏が来ますな)