「海上がりの味噌汁は、また格別だな」
「海上がりじゃなくってもお味噌汁は美味しいわ」
あたしんちの朝食は必ず味噌汁とご飯てぇことになっておりまして、とにかく味噌汁を頂かなくっちゃ朝は始まらない。まだ青唐辛子の収穫ができちゃおりませんから、乾燥赤唐辛子を使いまして、ぴりりと辛い味付け。圧員津であっても、汗をかきかき頂く味噌汁は格別の味わいであります。で、女房が夕べっからどうにも具合がよくなくって、どうやら夏風邪を引いたようであります。夏風邪は長引くなんてぇ話もありまして、ちょいと心配でありますな。朝のうちに薬は飲んだてぇことで、朝餉を整えてくれておりまして、なんだか申しわけねぇなと。
「ちょいと仕事で根を詰めたか?」
「そうかもしれませんね」
「肩こりと頭痛持ちだからな、ちょいと詰めれば無理が出る」
「いつものことですけど、夏の初めにはなんだかいつもこんな調子になるような気がするわ」
「ま、今日はゆっくりするんだな」
今朝は葱玉が食卓に上りました。卵を溶きましてその中に葱の小口切りをたっぷり入れる。味噌汁をお玉一杯入れまして、さらによく溶いて焼くだけなんですが、これがさっぱりしておりまして、飯が進むこと請け合いであります。簡単で葱たっぷりで体にいい。たぶん風邪も何とかなるかなと。そう甘くはねぇか。せっかくの休みでもって今日はちょいと出掛けるつもりではありましたが、まま、休みだからゆっくりと養生するのもひとつであります。今朝も美味しい朝餉をありがとう。
(暑くて寝られるかな)