またカツ丼を作っちまった。あたしの子供の頃カツ丼てぇのは高級食でして、なかなか食うことができなかったんです。今は三方原へ越しちまった三州庵さんは以前野口町にありまして、カツ丼の出前を楽しみにしたものであります。ま、あのカツ丼があたしの原体験になるのかなと。で、もう一軒忘れられない店があるんです。
あたしが中学生の時、初めて松菱通りの「玉屋食堂」さんへ入りまして頂いたカツ丼の味。これがたまらなく美味かった。甘辛のタレはちょいと多めでもって閉じた卵は緩め。このタレが美味くってね、タレがしっかりかかった飯がたまらなく美味かった。今の駐車場の当たりになるのかな。今はやめちまったけど、ラーメン竜さんの前辺り。そうだ、ラーメン竜さんの店舗は昔「焼き鳥八ちゃん」てぇ店でして、「玉屋食堂」の息子さんがやっていたんだよな。週末になれば通ったっけ。ま、それは成人してからの話でありますが。「玉屋食堂」のカツ丼は今でも鮮明にその味を覚えておりまして、何とかあの味ができないかなと。そそ、来々軒の大将も同じことを言いますな。妙に話が盛り上がったりして。今はなき店ってぇのはどうしても記憶が美化されているとは思うんですが、それでもあの味は思い出の味であります。
なかなかに立派なロースが手に入ったもんだからカツ丼を作ったんですが、あの味は簡単には再現できませんな。そうそう、あたしんちから北へ100mほど行った山下町の「酒丸」さんのカツ丼も絶品だったな。玉葱と筍が入ってるの。カツは揚げ立てだし本当に美味かった。カキフライも。この店も今は営業をしちゃおりませんでして、残念ではありますが致し方ない。そんな味を思い出しながらいつかあの味を出したいなと。それでもなかなかいい出来でありまして、今日も美味しくいただきましてご馳走様でした。
(肉がいいとかなり出来がよくなる)