7月1日の月曜は仕事でもって京都へ伺ってまいりました。朝っぱらから問屋を巡りまして、職人さんのところへも顔を出し忙しく動きますれば腹も減る。で、昼は「紫蔵」さんでと決めておりまして、西大路を金閣寺方面へと車を走らせることにいたしますってぇと、金閣寺手前の平野神社を越したところの東側にお店を発見。「紫蔵」さんは浜松に店を構える「蔵前家」さんが、東京でお店を構えていたときのお弟子さんであります。
「紫蔵」さんへは移転前からカウントすればこれで4回目の訪問になりまして、相変わらずの行列店でありますな。さすがとしか言いようがない。大体が横浜家系が京都へ来れば大抵追い返されるように撤退をする。が、ここだけは違いましてしっかりと根付いているようでありますな。あたしが伺ったときにも外待ち10組ほどおりまして、しばらく待ってから席に案内をされました。従業員の方がてきぱきと注文を聞きに回っておりまして、あたしのところへ来ますってぇと「ヌキヌキでよろしいですか?と大将が言っておりますが」と。ありがたい。大きくうなずきながらお願いしますと言いますってぇと、大将と従業員、あたしがそれぞれにやりとしながら顔を見合わせる。なんだか不思議な感じでありますな。さて、運ばれてきた器からは動物系の良い香りがいたしまして臭みがまったくない。ダシが張られた器には太いストレート麺が。紛れもなく酒井さんとこの。で、別皿に盛られた具材と鶏油にかえし。前回伺ったときはさすがに浜松「蔵前家」の師匠に軍配を上げたんですが、今回はうーむと唸る。出来が良い。良過ぎる。「蔵前家」の力強いコクとクリーミーでまろやかな出しに比べて、はんなりとした優しい味わいと滑らかさのあるこっくりとしたダシであります。お任せした麺の茹で加減はふわりと柔らかめ。人の思いはこうまでも味を変えてくるのかと感慨深い。最後の一滴までむしゃぶりつくように頂まして、器をカウンターへと下ろし、顔を上げますってぇと満面の笑みで店主が前にいた。大変美味しくいただきましてご馳走様でした。
(また行かなくっちゃ)