「飯の支度が出来たからそろそろ起きたらどうだぃ?」
「ありがとう、助かるわ」
女房はここの所忙しいようでありまして、夕べもなんとかその日のうちに帰ってきたってぇところであります。あたしんちはだれが何をするなんてぇことでもって担当があるわけじゃなく、それぞれ手が空いているほうが家のことをするってぇ具合でして、ここの所おさんどんはあたしがすることに。昨夜は豆ご飯を炊いておきましてチゲの下拵えをしておきました。あたしが寝ちまっていても、火を入れるだけで食べられるように。かろうじてあたしが起きているうちに帰ってきてくれたので、豆ご飯とチゲがあることを告げましてあたしは寝床へ。待っている間にハイボールをぐいぐいやったものですから、ちょいと飲みすぎちまいまして布団へ入ったかと思えば白河夜船。
今朝は早朝に友人から波はないよと一報が入りまして、安心して二度寝をすることに。とはいえ6時過ぎには目が覚めちまっていけない。女房も目が覚めたらしく布団の中でうだうだとしておりまして、ならば今朝はあたしが朝餉を整えようかと。味噌汁を作りまして目玉を焼く程度ではありますが、それでも何もせずに飯にありつけるのはうれしい。あたしがそう思うんだから女房とて同じはず。そういえば昨夜は豆ご飯を炊いたなと。実はあたしは豆ご飯があまり得意じゃない。おふくろが好きで子供のころ喰わされたんですが、あの青臭い匂いが苦手。で、女房は大好物。ま、そんなあたしが作るものですから臭みが出ないように作る。ダシを入れてほんの少しの塩とみりん。みりんが入りますってぇと、電気釜でも「おこげ」ができましてこれが香ばしい。そんな風に作りはするものの、自分が焚いた豆ご飯ですら食べたことがない。で、今朝はあたしも豆ご飯を頂くことに。最後に食べたのがおふくろが作ってくれたものでしてあたしが小学校5年生頃でしたかね。47年ぶりの豆ご飯でありました。で、自分で言うのもなんですが、臭みが抜けていてなかなか行ける。これなら女房の好物ってぇことでもって二人で楽しめるなと。
猫たちもあたしたちに付き合って朝餉の最中であります。今朝もおいしい朝餉でご馳走様でした。
(二人で楽しめたほうがいいに決まってる)