「朝ごはんの支度しますね」
「すまん、目玉で頼む」
夕べはどうにも飲み過ぎたようで酒が残っちまいまして、その上夢ばかり見ていてあまり寝たような気がしない。布団の中でうだうだしておりますれば女房が朝餉を整えてくれるってぇことで甘えることに。で、うだうだしつつも何とか起きまして階下へと降りていく。とんとんと包丁の音も小気味よく聞こえてまいりまして、猫たちはすでに朝陽の中でうたた寝を始めていたり。あたしんちは2年前に中古物件を買ったんですが、西側には最初に建てた建物がありまして東に増築分、その南東側には30坪ほどの小屋が建っております。それぞれに本館、新館、別館と呼んでおりまして(笑) 本館は床の間の部屋に整えた神棚の前で手を合わせまして新館のダイニングへ。
ダイニングテーブルに座りますれば女房が手際よく整えた朝餉を運んでくる。自宅療養中の女房ではありますが、家の中ではいたって具合がよさそうでありまして当初の頃に比べればずいぶん調子がいいような。とは言え、昨日はちょいと買い物へと出かけたんですがやはり表は疲れるようでありまして一朝一夕によくなるような病じゃないなと。もっとも、あたしもまだ手足のしびれが残っておりましてお互い病人が病人の介護をしているような具合でもってなんだかなと。女房と顔を見合わせては苦笑い。「私は気を病んでいても体は大丈夫よ。体がきつい時は言ってね、指示してくれれば私ができる範囲でしますから」と女房。まま、お互いが寄り添って生きていくしかないんだけれど、それもまたいいかななんてね。この目玉焼きの焼き加減は女房でなくっちゃなと。今朝もおいしい朝餉をありがとう。
(さて、今日は打ち合わせでお出かけしなくっちゃだ)