浜松は古くから遠州木綿てぇのがありまして、紬や縞の織物が盛んでありました。江戸時代に遡るこれらの歴史が途絶えようとしているときに、もう一度遠州木綿をってぇ事で「ぬくもり工房」さんが乗り出した。で、ちょいと手伝っちゃくれめぇかってぇ事であたしも一肌脱ぐことにしたんです。
縞は唐桟縞でありまして、出島交易のときに入ってきた印度の物であります。当時木綿の着物が定着しておりましたから、あっという間に流行ったそうであります。藍色や朱、浅黄などの色などが鮮やかに入った縞は珍重されまして、ちょいと洒落者たちの間で話題になったそうでありますな。ま、中でも川越唐桟は有名であります。
ま、そんな流行を受けて遠州地区でもおられたようではありますが、着物離れと共に衰退の一途を辿っておりまして、これは何とかしなくっちゃなんないと。木綿着物は普段着物でありまして、肩肘張らないおしゃれであります。家でも洗えまして官吏がしやすい。今、おりしも都会では木綿着物のブームでありまして、著名人たちが着物での生活を提案するほどであります。
唐桟に蜻蛉の赤玉簪とくれば町娘御用達でありまして、気取らないさっぱりとした潔いお洒落でありますな。これで下駄でも履いてからころと街中を流してもらいたいなと。あたしが主催する「紬の茶和会」てぇのもそんなことに賛同してくれる方たちの集いの場にしたくって始めたものであります。晴れ着はもちろんいいものではありますが、早々毎日切るもんじゃなくって、木綿着物こそ生活の場にぴったりとフィットするものだと思いますな。粋でおきゃんな風情ってぇのもいいと思いますがね。
(茶和会も姐さん方が多いもんな、兄さん来ちゃくれめぇかな)