「朝餉、ありがとう」
「波がよくなかったからな」
今朝方は海にふられちまいまして、家に帰って朝餉を整えることに。女房が起きる時間よりも早く帰ってきたこともありまして、たまには女房孝行もいいかなと。今日はちょいと合せ味噌ってぇ気分でして、冷蔵庫の中を見ますってぇと筍がある。ならば筍と油揚げ、豆腐の味噌汁だなと。
支度も済んで女房を起こしにいきますってぇとすでに起きて着替えている。階下の気配であたしが帰ったことには気がついていたようでありますな。神棚にお参りをして食卓へ来なさいと促しまして、味噌汁を温める。卵は炒り卵にいたしました。ベーコンをごま油で炒めまして、三つ分の卵を割り入れて手早く菜箸でかき混ぜる。ころころとしてきましたら、フライパンを振りながらさらに炒って行く。
「ありがとう」
「たまにはな」
「おいしいわ!」
「飯はな、整えてもらうのが一番うめぇのさ」
「ホントね」
「味噌汁の按配はどうなんだ?」
「薄味でちょうどいいわ」
「そうか、そいつぁよかった」
いつもは女房がすべてをこなしましての出勤なんですが、ちょいと手伝えばずいぶんゆとりのある朝の時間になりまして、まだこんな時間なの?なんてぇ事を言っている。ま、出来ることはなるべく手伝ってあげられたら女房ももう少し楽になるんだなと。ま、気が向いたときにでも手伝うことにいたしましょうかね。ははは。今朝も美味しい朝餉をありがとう。
(お互い顔を見て笑顔の食事ってぇのが一番)