辛くない唐辛子

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クローズアウトした海を眺めながら、ひとしきり仲間との話を終え帰宅をいたしました。さすがにまだちょいと早い時間だってぇこともありまして、一階でゆっくり新聞を読んでおりますってぇと、女房がとんとんとんと階段を下りてくる。やっぱりダメだったんですか?なんてぇ事を言いますから、ああ、やっぱりダメだったんだとあたし。






ま、知り合ってから長いこと経ちますから、海の状態がどうでなんてぇことも女房はわかりまして話は早い。ま、何はともあれ朝餉の支度だなってぇことに。味噌汁には家で栽培している青唐辛子の小口切りを入れるのが楽しみでありまして、今のところ青唐辛子の苗が二本と赤唐辛子の苗が一本あるんですが、この赤唐辛子、未だに赤い実が出来ない。その上辛くもない。ま、とは言え新鮮な青野菜の味が気に入っておりまして、いったいこれはどうしたことだろうかと。

「今朝あなたがもいだのを切りましたけど、香りが良いわ」

「香りはな、いいんだよ。辛くねぇんだ」

「まったくですか?」

「ああ、まったくだ」

「なんだか、あなたがあの苗を抜いてしまわないかと心配だわ」

「抜いちまう事はしやしねぇけどさ、やっぱ辛くねぇとな」

「でも新鮮な青野菜の旨みがあるから良いじゃありませんか」

「だからさ、いいんだよ、いいんだけどさ、それが惜しいってんだ」

「それに、あれは赤唐辛子なんでしょ?」

「ああ、苗にはそんな札がかかってたな。それも腑に落ちねぇ」

「赤くならないんですものね」

「赤くはならねぇ、辛くもねぇ野菜としては美味い」

「難しいところですね」

「まったくだ」

「むずかしい顔してますもの、あなた」

女房はあたしの顔を覗き込んでは笑うのをこらえているようですが、当のあたしとしましては、どうにも納得がいかない。園芸店で赤唐辛子として買ったものが赤くならねぇ上に辛くもねぇってぇのはね、がっかりするところなんですが野菜としては美味い。こんな複雑な心境になるのもそうあることじゃねぇ。なんともしがたいことではありますが、ま、しばらく様子を見ようかなと。








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そういえば海苔が切れていたんだっけな。買いに行こうと思ってすっかり忘れてやがる。唐辛子は辛くねぇは海苔はねぇじゃいいとこなしといいたいところなんですが、まま、野菜として食らえば美味い。海苔は明日にでも買いに行くことにいたしまして、今朝は朝餉を楽しむことに。

まま、いろんなことはありますが、たまの夫婦揃っての朝餉であります。辛くねぇ辛くねぇと呪文のように唱えながら飯を食らうあたしを、面白そうに眺めながら飯を食らう女房。そんな女房も明日はお休みでありまして、どうせ海はしばらく荒れ放題ってぇこともありますから、ちょいとどこぞへでも出かけようかなと。雨の日の山のドライブってぇのも静かでいいものであります。ま、ちょいと画策をすることにいたしましょうかね。今朝も美味しい朝餉をありがとう。

(赤くもならなきゃ辛くもねぇんだ)
by komamono_bun_ya | 2011-07-17 17:51 | 朝餉の風景