ぶん屋の抽斗

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2011年 12月 01日

年の瀬

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小雪を迎えてからきゅっと冷え込んでまいりましたな。年が暮れてゆく師走でありまして、装いは色を重ねて濃い色になって行きますな。まるで一年の全てを重ねていくようでして、ちらちらと白いものが舞いますってぇと、それもよく似合う色合いでありますな。







去年の暮れでしたかね、以前から女房はショールが欲しいんだなんてぇことを言っておりまして、女性の着物てぇのは脇が開いておりまして、身八つ口てぇんです。下着をつけまして襦袢を着、長着を着まして羽織を羽織る。これが全て絹ってぇことになりますってぇと暖かいことこの上なし、しかも軽いときてる。ま、下着まで絹ってぇのはなかなか御代様だとは思いますがね。

男のあたしも下着は綿ではありますが、絹の襦袢に絹の長着を着まして、絹の羽織てぇことになれば暖かくって軽やかでありますな。でもって、絹かカシミヤの襟巻きなんぞがあればたいていの寒さならば問題はない。ところが女性には先ほど言った身八つ口ってぇのがありまして、ここから表の風が入りますってぇと飛び上がる程寒いんだと。何でまた脇に穴なんぞ開けてあるんでしょうかねと言いたくもなる。でもって、ちょいと丈の長いショールがあるってぇと身八つ口を塞げて風も入ってこないてぇことになる。

理屈は分かるんですが、このショールてぇのがなかなかに良いお値段でありまして、考えても見れば鬼ちりめんでもってたっぷりと生地を使った上に袷ときている、おまけに刺繍がふんだんにされているってぇことになれば止むを得ないってぇことになるんですが、それでもなかなか手が出るもんじゃぁない。手刺繍のいいやつは20万円ほどしても珍しくありませんから。まま、そこまで高価ではありませんが、商売が商売ですから、そのなんですな、蛇の道は蛇ってぇことでそれなりのものを買って与えたんです。これがね、あたしが言うのもなんですが、よく似合う。本人も気に入っておりまして、寒い最中にも着物で出かけることが億劫じゃなくなった。お洒落が出来て具合がいいってぇのはやはり良いものでして、女房はまたまたあたしに惚れ直したようでありまして、買った甲斐があったってぇものでありますな。世の男性諸氏、あたしのような思いがしたければ是非あたしんと頃へ遊びに来まして、ショールのひとつも奥様に。はは。今週も皆様のお越しをお待ち申し上げております。

(濃い色の組み合わせは年末っぽくていいねぇ)

by komamono_bun_ya | 2011-12-01 18:54 | 呉服小物 | Comments(0)


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