「やっぱり何本かは折れていたのか」
「ええ、でも思いの他ひどいことにならなくってよかったわ」
夕べの風雨はひどくって、久しぶりに台風の脅威を肌で感じた夜でありました。あたしんちは免れたんですが、浜松は広域で停電になりまして、夕べラジオの生放送からの帰り道でも、いろいろなものが道路へと散乱しておりました。傘なんざまったく役に立たないことはわかっておりましたから、はなっからポンチョを被って生放送へと向かったのは正解でありましたな。しかして、夕べの風と雨はぼろ我が家を脅かすには十分でありまして、いつ家が倒れるのかと肝を冷やしました。そんな中、紫陽花や南天を気遣って女房が風をよけられる場所へ避難をして置いたんです。桔梗もそうでして、鉢植えの桔梗は蕾をたくさんつけておりまして、どうにもバランスが悪くって倒れやすい。女房はそんなことも気がかりだった様でして、起きてからすぐに桔梗の鉢を見に行きますってぇと、案の定倒れていてその上鉢がなかったようであります。急いで空いている鉢へ植え替えましたが、何本かの桔梗は茎が折れておりまして、その折れた桔梗を手折って食卓へと。食卓には花が飾られまして、ぱっと明るい雰囲気にはなるんですが、その花が大切にしていた桔梗だってぇことで、ちょいと思いも複雑ではありますな。
「なんだか可愛そうだったわ」
「仕方があるめぇ、誰が悪いんじゃねぇしな」
「そうね。でも、たいしたことがなくって良かったわ」
「青唐辛子とゴーヤの葉が風で萎れちまったな」
「あれは大丈夫かしら?」
「取り敢えずは水もくれたしな、あとは按配じゃねぇのか」
「そうよね、でもひどい台風だったわね」
「うちなんざ被害がなくって良かったぜ」
「しばらく海もダメなんじゃない?」
「ああ、まだもう少し長生きしてぇからな」
「そうね、きょうはのんびりね」
「ああ、ジムでちょいと体をいじめてくるさ」
朝の起き抜けに頂く味噌汁ってぇのは価千金でありまして、体も精神も叩き起こしてくれますな。なんとも言えない美味さでありまして、具には先日買い求めた蕨が入っております。もう六月だってぇのにまだ蕨を楽しめるとは。災害ってぇのはいつ何時やってくるかわからないものでありまして、常日頃からの備えってぇのが大事だなと改めて思いますな。平穏無事にいただける味噌汁のありがたみに感謝であります。いつも美味しい朝餉をありがとう。
(さて、ジムへ)