新作の蜻蛉玉簪をちょいとご紹介申し上げているんですが、これは「紺色」を地色にもった花七宝でありますな。紺色と言いますてぇと青の濃いやつだと漠然と思われるんでしょうが、詳しく言いますってぇと「濃い青紫」てぇことになります。意外と赤味が差していたりするんですな。
これをちょいと明るくしますってぇと「紺青色(こんじょういろ)」てぇことになりまして、さらに明るくすると「瑠璃色(るりいろ)」になる。で、赤みをちょいと取りますってぇとそれが「群青色(ぐんじょういろ)」に。青ってぇ概念は染色の中では「藍色(あいいろ)」てぇことになりまして、こちらは赤みがほぼ入らないってぇことになりますな。ま、ちょいとやかましい講釈なんぞたれちまいましたが、実はこの「紺色」よりも華やかな「紺青色」は、今時分の夜の空の色だったりいたしますな。夜空を仰げば、いつもよりもちょいと紫のかかった夜空に気が付くかと。そんな時期に「紺色」の花七宝は季節に沿った色でもあります。
(ま、理屈抜きにきれいな色でありますな)